声優が詠う、文学的青春パンクバンド太田家(おおたや)が、2ndアルバム「四季織々」をリリース。同アルバムの先行販売も兼ね、2月20日(日)に赤羽ReNY alphaを舞台に、太田家主催LIVE「おおた祭り例大祭 レジェンドとおおた!」を開催した。出演したのは、【会場出演】太田家/ザ・マスミサイル/GEEKS。【中継出演】花男/THE BOOGIE JACKの計5組。太田家以外の出演者たちは、1stアルバム「愛読書」2ndアルバム「四季織々」へ楽曲提供した人が行っているバンド。太田家以外、「青春パンク」というムーブメントの渦中で注目を集め、今も、現役で活動している。当日のイベントの模様を、ここに伝えよう。
GEEKS
この空間へパンキッシュな熱いロックの風を吹かせたGEEKS。
イベントのトップを飾ったのが、太田家の2ndアルバム「四季織々」に「赤赤」を提供したエンドウ.率いるGEEKS。ライブは、この空間へパンキッシュな熱いロックの風を吹かせるように「新世界論」から始まった。ソリッドな音に刺激を受け、気持ちが荒ぶる。フロアでも、拳を高く突き上げ、思いをぶつける人たちの姿が早くも登場。続く「ジャーニーマン」ではクールでエッジ鋭い音を突きつけ、会場に生まれた心地好い緊張感へGEEKSはさらに鋭利な刺激を加えていった。
凛々しく攻めるだけがGEEKSではない。その姿を示すように「JAILBREAK」では、胸をくすぐるメロディーを魅力にした曲を歌い、観ている人たちの心の内側から気持ちを沸き立てた。胸にスッと入り込むキャッチーさを持ちながらもがなるように歌う、過激さを内に秘めたエンドウ.の歌声はとても刺激的だ。ノリと勢いに熱情を振りかけた「LASS FORK」でGEEKSが見せた、スリリングなのに胸熱でエネルギッシュな姿。彼らは演奏を止めることなく、この空間に熱と心地好い緊張感を与え続けていた。
MCでは緩い姿を見せつつ、気持ちを切り換えるように届けた「ARISTO QUEEN」では、パンキッシュな2ビートスタイルを提示。感情を高揚へ導く歌や演奏に刺激を受けた観客たちが、ビートに合わせ高く拳を突き上げる場面も印象的だった。エンドウ.も、気持ち沸き立つ歌や演奏を通し、観ている人たちの気持ちをグングンに上げてゆく。
北欧ケルト系の音楽要素も加えた、高ぶる感情を熱く解き放つ高揚パンクチューンの「MINX MELANCHOLIA」の登場だ。気持ちが嬉しく騒ぎだす。熱を上げ続ける演奏にHAPPYという楽しさを乗せ、このまま一緒にアガり続けようと彼らは誘いかけてきた。
それまでの攻めた表情を少し和らげ、触れた人たちの気持ちを笑顔へ導くアッパーなポップメロチューンの「DECREPIT BUS」が、騒ぎたい気持ちへ嬉しく拍車をかけていた。一緒に口ずさみたくなるシンガロングな楽曲も、GEEKSの嬉しい魅力だ。心地好いノリへヤバい刺激をぶち込むように、GEEKSは「DECREPIT BUS」を演奏。荒ぶる演奏と胸くすぐるキャッチーな要素をミックスアップ。身体は騒ぎながらも、心は耳心地好い歌に惹かれ続けていた。
ライブも終盤へ、ここから更にアゲていこうとGEEKSはシンガロングな「雑音オーケストラ」をぶち噛ます。高揚し続けるアップチューンに刺激を受け、拳振り上げ騒がずにいれない。高ぶった気持ちを、GEEKSの演奏に乗せてぶつける人たちの姿があちこちに見受けられた。最後にGEEKSは、胸くすぐる歌が気持ちを熱く騒がせる青春パンクチューン「PYROMANIA」を歌い奏で、観客たちと一緒に熱狂のその先を目指し、アガり続けていった。観ている人たちも、演奏している自分たち自身も、気持ちを思いきり開放しながら歌い奏でる姿が、とても印象深く見えていた。
THE BOOGIE JACK
THE BOOGIE JACKのライブへ参加したなら、一緒にずっと終わらない青春の景色の中、無邪気にはしゃぎ続けずにいれない。
1stアルバム「愛読書」へ、THE BOOGIE JACKのヒライシュンタが「星明かりのメロディ」を提供。この日は、地元の名古屋からライブ配信という形でTHE BOOGIE JACKはイベントに参加した。
彼ら自身は、観客たちを目の前にしていたわけではない。でも、ひとたび音を鳴らした瞬間、メンバーらの心は、赤羽ReNY alphaの舞台上に飛んでいた。目の前に拳を振り上げ熱狂する観客がいる気持ちで、THE BOOGIE JACKはエネルギッシュな「遠吠え」を、吠えるような歌声と、高ぶる気持ちを音に乗せて叩きつけてきた。沸き立つエモーショナルな感情をすべて解き放ちたい。中継とは思えない熱いライブスタイルが、たまらなく刺激的だ。
胸をくすぐる熱いサビ歌から始まった「STARRY ROAD」でも、THE BOOGIE JACKはザクザクとした荒ぶる音を突きつけ、自分たちの気持ちを上げれば、その熱を、画面越しで観ている人たちにも熱した空気のままに届けていた。だから気持ちが騒ぎだす。興奮したくて、身体が熱く騒ぎ続ける。
胸を熱く掻き立てるエモーショナルな歌系の「彼方のラブソング」を通して感じていたのが、「青春パンク」が持っていた心焦がす真っ直ぐな気持ち。ヒライシュンタの歌声が、切ないけど、でも、本気で思いをぶつけていたあの頃の恋していた気持ちを心の中に甦らせる。今は、悲しみさえ前へ進む勇気に変えていける。そんな気持ちで、この歌や演奏に触れていた。
「青春は目の前だけ きらめきは目の前だけ」と、身体を前のめりに歌うヒライシュンタがインパクト強い姿として瞼に焼きついた。言葉のひと言ひと言に今も終わらない青春の景色を重ねながら、彼らは変わることない青春という熱情を「Maroon Red」へ真っ直ぐにぶつけていた。アガる、アガる、気持ちがアガり続ける。この瞬間、僕らもあの頃の少年少女に戻って青春を謳歌していた。
「音楽があって良かったなと思います」「歌こそが人生、音楽こそが人生という思いを、観ている人たちへ伝えたいなと思います」。ヒライシュンタの言葉に続き、THE BOOGIE JACKはスケールあふれたエモーショナルチューンの「SONG IS LIFE」を熱唱。とても雄大な楽曲だ。でも、その中には熱々とした思いがたっぷり詰め込まれている。この歌に触れていると、心が温かい気持ちに染め上げられる。ヒライシュンタは、心の底から感じている想いを歌声に乗せて響かせていた。だからその言葉を、一つ一つ零すことなくしっかりと両腕で受け止めていたかった。
青山真一のドラムビートを合図に演奏したのが「生きてこそ」。THE BOOGIE JACKの歌は、挫けそうだったり折れそうな心を建て直し、ふたたび前を向く力に変えてゆく。沸き立つ想いのままに歌うヒライシュンタの声が、言葉が、踏みだす勇気を与えてくれる。だから、そのエモーショナルな歌や演奏をつかみたくて、心の手を彼らに伸ばしてしまうんだ。
たとえ距離は離れてようと、仲間たちと一緒に音を奏で、想いを交わしあえていることに、メンバーたちは感謝の想いを述べていた。
終盤に届けたのが「クレーターストーリー」だ。とてもエモーショナルなのに、すごくハートフルな想いを詰め込んだこの曲を聴くたびに胸がジンワリ熱くなる。この愛おしい時間にずっとずっと浸っていたい。気持ちは熱くなりたいのに、勝手に涙腺が緩み、瞼がじんわり濡れてゆく。この感覚が、とても嬉しかった。このままずっとずっと気持ち揺れるこの熱に包まれていたい。
最後にTHE BOOGIE JACKは、観ている人たちの身体を思いきり熱く、激しく揺らそうと「オーイェイ」を演奏。きっと大勢の人たちが、彼らの歌や演奏に合わせ「Oh!Yeah!!」と叫んでいたに違いない。叫びたい衝動を、一緒に歌いたい熱情をTHE BOOGIE JACKは届けてくれる。彼らのライブへ参加したなら、一緒にずっと終わらない青春の景色の中、無邪気にはしゃぎ続けずにいれない。最高の胸熱なライブが、ここには間違いなく息づいていた。
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ザ・マスミサイル
教科書には乗ってない、先生も教えてくれない心の自由が生きている空間。それを人生の金八先生のようなよっくんが、ザ・マスミサイルが唱えていた。
1stアルバム「愛読書」へ、「夏のイカれ野郎」を提供したよっくんこと高木芳基率いるザ・マスミサイルが登場。ギターのハウリング音を合図にザ・マスミサイルのライブはスタート。冒頭から彼らは、ザ・マスミサイルと共に歩み続け、今も名曲として高い支持を得続けている「教科書」を演奏。まさかの人気曲の登場に、フロア中の人たちが興奮を隠せずに熱狂。最初から、全力で騒ぎだした。この日もザ・マスミサイルのメンバーらは、身体中から沸き立つ熱を全力でぶつけてきた。理性のストッパーなど、この空間に、ザ・マスミサイルのライブには必要ない。感情を抑えたいのなら、ここよりも似合う場がある。ここは、自分の素直な気持ちをそのまま遠慮なく吐き出せる場。教科書には乗ってない、先生も教えてくれない、本当の心の自由が生きている空間。それを人生の金八先生のようなよっくんが、ザ・マスミサイルが唱えてきた。彼らの演奏に熱く刺激を受けた大勢の人たちが拳を高く突き上げ、心の中で歌い叫んでいた。沸きだすこの熱情をもっともっと吐き出したい!
楽曲は止まることなく「靴」へ。よっくんの吹くブルースハープの音色と絡む前川真吾のブルージーなギターの音。気持ちを前へ前へと突き出し歌う声に引っ張られるように、演奏も軽快に駆けだす。この曲が、一歩踏みだす勇気と力を注ぎ込む。気がついたら、メンバーらの動きに合わせ、大きく上げた両手を思いきり左右に振りながら、自由や開放という楽しさを味わっていた。
さらに熱したロックのエナジーを降り注ぐように、ザ・マスミサイルは「そもそもね」を、この日の出演者たちにひっかけたアドリブまじりの歌詞にして届けていた。なぜ自分たちがここで歌ってきたのか、今も歌い続けているのか。彼らの純粋で真っ直ぐな感情に触れるたび、何事にも無敵だった10代の頃の自分が戻ってくる。今でもザ・マスミサイルのライブに触れることで、置いてきたあの頃の自分を取り戻せる。
熱情炸裂した楽曲の上で、よっくんのがなる歌声が響き渡る。マーチングビートに乗せ、ザ・マスミサイルは「おっ讃歌」を、沸き立つパッションのままに歌い奏でていた。あえて自分たちを自虐的に歌いながら、いくつになっても、いつまでも夢見続けるおっさんでいる自分を鼓舞するように、よっくんは、メンバーらは、永遠の少年そうに見えて、やっぱしおっさんだからこその視点で想いをぶつけていた。
もの悲しいエレピとギターの音がフロア中に流れだす。そこへ重なるブルースハープの切ない音色。彼らは「311」を、誰かの心の声を代弁するように歌っていた。いや、「311」という一つの出来事を通して感じてきたいろんな言葉を胸に抱え、彼らは、正解の出ない答案用紙を説き明かそうと歌っていた。自問自答し、自分なりに動いた言葉や感情の数々を、よっくんは歌声という本心に乗せて歌いあげていた。
熱した感情を優しく包み込むように流れる演奏。そのうえでよっくんは、大切な両親へ向けての想いを、手紙を読み語るように「拝啓」に乗せて歌いだした。自分の経験を、自分が生きてきた中で心に強く焼きつき、心を揺らした想いの数々を、ザ・マスミサイルは楽曲を通し、剥きだした形で歌いかける。それがよっくん自身の経験だとしても。彼が生きてきた中から沸きだした言葉は、たとえ立場や環境が違おうと、生きた、命を持った言葉として、触れた人たちの心を揺さぶる。自分が隠してきた気持ちを、ザ・マスミサイルの歌を通して表へ引き出されたことで、恥ずかしいけど。でも、その気持ちを改めて確かめられたことに嬉しさを覚えていた。
「いつでも一人で生きてるつもりであった~一人じゃないって 仲間がいるって」。彼らは、この機会を作ってくれた、この場に集まった仲間たちとの繋がりへ感謝の想いを述べるように「仲間のうた」を、気持ち突き動かされるままに歌い奏でていた。フロア中ても、大勢の人たちが大きく手を振り上げ、心の中で歌っていた。ここに集まることで、僕らは改めて気付かされる。一人じゃないって、ここには同じ音楽を愛する仲間がいるって。その音楽を分かち合えることで、僕は、わたしは、一人じゃないことを感じれるって。ライブが終わったら、また一人に戻ってしまうかも知れない。でも、音楽が生きている間は、その歌を通し、同じ気持ちを分かち合える仲間がそこにはいる。知らない君を、この歌が繋いでくれる。僅か数十分の勘違いでもいい。でも、一緒に熱くなって瞼を熱くできるこの時間、やっぱし一人じゃないって思えるのは間違いないし、そう思えることが嬉しい。
最後にザ・マスミサイルは、熱情した気持ちを全力でぶつけるように「バンドオンザラン」を歌い、演奏。メンバー一人一人が沸き立つ熱情を、身体を思いきり揺さぶり叩きつけていた。これが自分らの生きざまだと叫びながら、ここに生きることが己の生きる証だと示すように、燃え盛った魂を舞台の上からガツガツ放ち続けていた。ヤバいくらいに熱いライブが、ここには生きていた。
https://twitter.com/the_massmissile
花男
本気の想いに古いも新しいもない。花男の言葉が、歌が、本気で生きてきた人たちの心を奮い立てる。
1stアルバム「愛読書」に「ツアーは続く」を提供した花男が、ライブ配信という形で参加。花男は、自宅の屋根裏より弾き語りという形で登場。この2年間、ライブをしたくても出来なかったことや、ライブに行きたかったのに行けなかった悔しさをぶつけるように、花男は「銀河」を歌唱。日本全国をロードしてゆくのが当たり前だった時代を懐かしむように。今でも、歌を愛してくれる人が一人でもいるなら、その人のために歌えることの幸せを確かめるように、花男は「ライブハウスが好きなんだ」と歌っていた。
「みんなとは、誰よりも熱く昔話ができる。でも、未来のことを今でも熱く語れる仲間たちがこの日のイベントには集まっている」。そんな仲間たちへ向け、花男は温かい歌声で、「page」を通して想いを届けていた。今だからこそ想い、伝えたい気持ちや言葉を、花男は歌に乗せ、ぶつけてゆく。その言葉は自分自身に、同じ志を持った仲間たちへ向けられていた。今も必死に未来へ向かって歩んでいる、同じ環境の中で必死に生きている同志たちに向け歌っていた。生々しい花男の歌が、心へ嬉しく突き刺さる。だから、また勇気を心に注がれた気持ちになれた。
太陽族を通して出会えた仲間たちが、この日はイベントの場にたくさん集まっていた。その頃を懐かしむように、花男は太陽族の「HEBO」を歌っていた。もう20年も前の歌になる。でも、その歌詞やメロディーは、花男の歌声は、20年なんて時間を軽く超え、今も、心を奮わせる。当たり前だ、あの頃も、今も、太陽族は、花男は「本気」を歌っているのだから。本気の想いに古いも新しいもない。その言葉が、歌が本気だからこそ、今聞いても心が奮い立つ。それこそが、魂を込めた歌なのだから。
次に披露した「brother」について、花男はTHE BOOGIE JACKがいたからこそ出来た歌と語っていた。「フレーフレーフレー」と高ぶる気持ちのままに歌う花男の姿が格好いい。あの時代を必死に、真剣に生きてきた仲間たちの不格好な生き方が、何よりも一番輝いていたことを花男は知っている。だから、あの頃の自分らにエールを送るように。今でも、終わらない夢を求め歌い奏で続ける仲間たちへ向け、明日へ進む勇気のラブソングとして「ブラザーに」を歌っていた。魂込めた歌声は、やっぱし胸を震わせた。
次に届けたのが、作ったばかりの新曲「とおまわり」。花男自身が遠回りばかりの音楽活動や人生を送り続けている。でも、その生き方や生きざまに誇りを持っているからこそ、そんな自分を認め、褒めてあげるように「とおまわり」を歌っていた。この日のイベントに集まったバンドたちも、そんな奴らばかり。でも、その道に誇りを持つ連中ばかりだからこそ、彼らの歌には人の心を揺さぶる「生きた想い」が満ちている。それは花男も、同じ。彼は「届け」と叫んでいた。その想いは、胸をしっかり揺さぶり続けていた。
最後に花男は、太田家へ曲提供した「ツアーは続く」をセルフカバーし届けてくれた。太田家で触れるのとは異なる、花男の温かな想いも加味したアコギの弾き語りだからこそのほっこりとした歌に、心が惹かれていた。ホント、人情味ある歌を歌う花男らしさが伝わった配信ライブだった。
https://twitter.com/hanao_miyata
太田家
太田家は、色褪せない「青春」物語の中へと招き入れ、観ている人たちの心を10代の自分に着替えさせていた。
華やかに祭り上がろうと、太田家のライブはTHE BOOGIE JACKのヒライシュンタが曲提供した「星明かりのメロディ」からスタート。フロア中の人たちが心の中で「オーオーオー」と声を上げ、太田家が「星明かりのメロディ」を通して作りだした眩しい青春の風景に飛び込んでいった。この曲が、演奏が、太田彩華の歌声が心に届いたとたん、目の前からリアルが消え、自分が欲しいと願っていた青春の景色の中へと入り込んでいた。気持ち揺れ動くまま夢中で音にまみれ,はしゃぐ少年に戻っていた。きっと、同じ気持ちを感じていたあの頃の少年少女たちはたくさんいただろう。太田家は、色褪せない「青春」物語の中へと招き入れ、観ている人たちの心を10代の自分に着替えさせていた。
太田たけちゃんの声を合図に、僕らは14歳の自分に戻り、舞台の上から流れるロックンロールのビートに合わせ、夢中になって飛び跳ねていた。「青春」(↑THE HIGH-LOWS↓ COVER)、何時の間にか僕らは、言葉通りの景色の中にいた。無邪気で、無敵で、でも脆くて、壊れそうで。だけど、やっぱり最強だと思える、真っ直ぐな心で、太田家の演奏や音楽に触れ、あの頃の気持ちのまま夢中になってはしゃいでいた。
続いて奏でた「夏のイカれ野郎」は、ザ・マスミサイルの高木芳基が提供した曲。ゲストで、よっくんが登場。彼は太田彩華の歌声に熱を加えるように、合いの手変わりに声を重ね合わせ、歌いあげていた。よっくんという最強の仲間を得た太田家は、いつも以上にパッションあふれる演奏をぶつけ、観客たちの拳を高く高く突き上げさせる。太田彩華自身が、喜びを隠せない最高の笑顔でとイカれた気持ち全開で、ガナり、歌いあげていた。お互いが本気で熱情を交わしあう姿を見て、胸に涙が込み上げる。泣きたいくらいに嬉しくて楽しい感情に、瞼がウルウルしていた。
次に届けた「赤赤」は、GEEKSのエンドウ.が提供した楽曲。ここでは、エンドウ.がゲストギタリストとして登場。「赤赤」は、太田家ナンバーの中でもとくにアグレッシブさを出した楽曲。荒ぶる感情を、エンドウ.が荒ぶるギター演奏で盛り立てる。太田彩華も、荒々しい演奏に刺激を受け、がなるような声も混ぜ、沸き立つ想いを吐き出すように歌っていた。太田家の、太田彩華の中にあるワイルドな面は、「赤赤」を通して間違いなく増幅していた。
荒ぶる気持ちや勢いを一気に明るく解き放つよう解放感たっぷりに、太田家はメロコアチューンの「じゃぱにーず・いでぃおっと」を演奏。爆走する楽曲の上で、カラッと晴れた気持ちと歌声を太田彩華は走らせていた。彼女の晴れた歌声の熱に引き寄せられるように、フロアでもみんな夢中になってはしゃぎだす。そこには、楽しい祭りの景色が生まれていた。
演奏は止まることなく「クソゲーって言うな!」へ。太田彩華はゲームコントローラー仕様のマイクを用い、舞台の上を右に左に駆けながら、「もっともっとみんなクレイジーになっちゃいなよ」と誘いかけるように声を張り上げ、歌っていた。この曲では、愛らしい面も披露。途中、あまりにもはしゃき過ぎ、マイクのトラブルも発生。そんなアクシデントさえ逆にパワーに変え、太田彩華は舞台の上から絶叫し続けていた。
それまでの熱狂した景色から少し色を塗り替えるように、太田家は、失くした愛しい人へ想いを伝えるように、届かない手紙を読むようなセリフ語りから次の物語の扉を開けた。太田家が届けたのは、今の季節に似合う美しくも切ないバラードの「スノーグローブ」。今はもう会えない大切な人へ向け、届かないのを知りながらも届けたい想いを、太田彩華は、今にも心壊れそうな声で優しく歌っていた。先程までの熱情した姿が嘘のように、曲の扉を空けるごと、太田家は、その歌に相応しい物語を目の前に描き出す。観ている側も、その景色や心模様へ素直に気持ちを寄り添えてゆく。
切々とした太田ひさおくんの奏でるエレピの音色に乗せ、メンバーらが澄み渡る歌声を重ねて届けたのが、卒業ソングとしてお馴染みの「旅たちの日に」。美しい合唱と演奏は、途中から一気に加速。熱情抱いた青春パンクスタイルに進化した。メンバーらの煽りに刺激を受け、拳を突き上げ騒ぐ観客たち。気持ち嬉しく高ぶる歌に触発され、心が騒ぐ。大勢の人たちがこの歌を心の中で歌いながら、背中に授けた翼をはためかせ、心を空に飛ばしていた。
ライブも終盤へ。次に届けたのが、花男が楽曲提供した「ツアーは続く」。太田彩華のベースから幕開けたこの曲で、メンバーらはどんな状況下でも支えてくれる仲間たちへ向け感謝の想いを届けていた。仲間たちがいるからこそ、これからも前へ進むことを辞めない。その強い意志を、太田彩華は美しくメロウなバラードに乗せ、歌いあげていた。太田彩華の歌う言葉のひと言ひと言が、今宵は強く胸を揺さぶった。一つ一つの言葉を零すことなく全部しっかりと受け止め、胸の奥深くへ染み込ませていたかった。
「みんなの明日がもっと強く、もっと優しく輝きますように」。次に歌った「光れ」は、吉崎綾に提供した楽曲。秘めた熱情を駆ける演奏に乗せ解き放つように歌うこの曲は、パッションに満ちた青春パンクをトレードマークにしている太田家にも似合う表情だ。吉崎綾へ送った想いとして記しながらも、ここに綴ったのは、自分たち自身へ言い聞かせ、向きあおうとしてゆく、永遠の夢追い人の太田彩華や太田家らしい意志。熱情を詰め込んだ歌に刺激を受け、気持ちが熱く奮い立つ。熱を抱えた気持ちのまま駆け上がりたい。
「オイオイオイ」の声も胸を熱く滾らせる。最後に太田家は、メロディアスで勢いを持った太田家流の青春パンクソング/シンガロングナンバーの「愛とアストロノミア」を演奏。太田彩華の歌声へ気持ちを寄り添え、一緒に声を張り上げたい。熱く駆ける演奏に合わせ、拳を何度も何度も高く突き上げていたい。太田家の顔の一つとも言うべき高揚メロディックな青春パンクロックが、ここにいる人たちみんなの気持ちを一つにし、大きな拳の波をフロア中に作りあげていった。奮えるくらいの興奮が、たまらない。この曲を相棒に、また太田家と一緒に次の世界を見たくなっていた。
止まないアンコールの手拍子を受け、メンバーらはふたたび舞台へ。いろんな人の背中を押すように。一人一人が人生の主人公だからこそ、物語の主人公として輝こうとすることが自分の力や魅力になることを伝えるように、太田家は「シュプレヒコールが眠らない」を歌い、奏でていた。一歩を踏みだせない小さな臆病者たちに向け、小さな心の枷を、この歌は外し、少しだけ前へ踏みだす力をくれる。大きな一歩でなくていい。僅かでも気持ちが前に進んだら、その小さなきっかけが自分を主人公にしてゆく。
最後に太田家は、始まりの歌「名もなき少年の 名もなき青春」を力強く演奏し、青春という眩しい輝きの中で生きることの喜びを伝えてきた。青春の息吹を燃やすように、熱情した気持ちを解き放つよう歌い奏でる姿に、胸が熱くたぎっていた。感情のすべてがぐちゃぐちゃになるくらい、メンバーらと一緒に心の中で声を張り上げて騒ぎたい。何時の間にか光輝いていた"青春"という景色の中へすべての感情をどっぷりと浸らせ、太田家と一緒にその輝きを身体中にまとっている自分がいた。
https://twitter.com/otaya_band
https://twitter.com/ota__ayaka
本当なら、この日、みんなで同じ会場で顔を合わせ、みんなで顔を突き合わせたライブをやりたかった。この日出演したGEEKSも、THE BOOGIE JACKも、ザ・マスミサイルも、花男も、太田家も、みんな一緒にこの会場で、同じ空気を感じていたかった。でも、今回はコロナ禍という影響から、THE BOOGIE JACKと花男は会場に足を運ぶことは叶わなかった。だからこそみんな約束していた、「もう一度、このメンツでリベンジ公演をやろう」と。その約束はきっと叶うはず。今はまだ何も決まってはいない。でも、出演者たち全員がそれを望んでいる。その望みはきっと叶うはず。その時期がきたら、またみなさんにお知らせしたい。
PHOTO: 菊島明梨
TEXT:長澤智典
太田家 情報
3周年記念無料配信LIVE開催決定
4月18日 19時~
2ndアルバム「四季織々」店舗オリジナル特典2Lブロマイド付き
アニメイト
https://www.animate-onlineshop.jp/products/detail.php?product_id=2012620
ゲーマーズ
https://www.gamers.co.jp/products/privilege_detail.php?id=882982
HMV
タワーレコード
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